書いた文章の記録4
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日本国際ポスター美術館
所蔵ポスター展
「ワルシャワ・ショーモン・ラハティ 世界の、ポスターのある街から。」フライヤー

ポスターの国(2020.9)
★ワルシャワ国際ポスタービエンナーレのオープニングには、世界中から多くの人が集まる。その前後、数日間にわたり広い街のあちこちで展覧会のオープニングが催され、集まった人々が会場を目指し大移動する。
ワルシャワの街を歩くと大きな広告塔にポスターが貼ってあるのが多数目に入る。トラムやバス網が発達しておりその停留所にも同様に貼ってある。そのポスターの中にはポーランドデザイナーの作風が生きた個性的なポスターが一定の割合であり、それらを眺めるのが移動の楽しみの大きな部分を占めている。
ポスターの具体的な特徴としては、メインのビジュアルから文字まで手描きの筆致を生かしたものが多い。人の温もりを感じさせるが、それを生かす絶妙なレイアウトにより不思議な存在感を放つ。ワルシャワ美術アカデミーの歴代の教員たち、学生たちが街の風景を作っているのだなと感動する。
★パリ東駅から電車で3時間のショーモン村では、毎年国際ポスター&グラフィックデザインフェスティバルが行われる。村の中のあちこちに展示会場があり、主要部分は歩いて回れる範囲にある。オープニングに参加できたことはないが、展示を見て回ると、洗練された作品や受付をする学生のボランティアの様子に活気を感じる。フェスティバルのマークはレイモン・サヴィニャックによるものでほのぼのしているが、選ばれて展示されているのはデジタル世代の激しいコラージュやコントラストの強いタイポグラフィが多い。フランスという国を一括りにはできないが、当館と関わりのある各地のデザイナーに見られるような、色彩の鮮やかさと社会へのメッセージ性、アーティストであるという誇りは繋がっているように感じる。パリの広告塔のポスターは、ほとんどが個人の作風を排除したものであるので、地方都市の方が活躍できる場があるのかもしれない。
★ラハティポスタートリエンナーレは最近まで“ビエンナーレ”で、ワルシャワの開催されていない年に行われていた。ワルシャワが巨大すぎてそれと比較するものではないが、毎回各国から何人ものデザイナーが集まる。規模はこぢんまりしていて、自然とデザイナー同士の付き合いが親密な雰囲気になる。集まったデザイナーでアアルト大学元教授のマリヤッタ・イトコネンさんにキャンパスを案内してもらったり、ペッカ・ロイリさんのお宅に呼ばれて夕飯をごちそうになったりした。そういった気取らないふるまいや、性別や年齢に関係なくフラットな人間関係が、森と湖に囲まれて暮らし、自然と共に暮らすフィンランド人の気質で、それは彼らの静かだが強くシンプルを極めるようなデザインと繋がっているように思われ、日本のデザインにも似ている部分があるように感じる。
所蔵ポスター展
「ワルシャワ・ショーモン・ラハティ 世界の、ポスターのある街から。」フライヤー

ポスターの国(2020.9)
★ワルシャワ国際ポスタービエンナーレのオープニングには、世界中から多くの人が集まる。その前後、数日間にわたり広い街のあちこちで展覧会のオープニングが催され、集まった人々が会場を目指し大移動する。
ワルシャワの街を歩くと大きな広告塔にポスターが貼ってあるのが多数目に入る。トラムやバス網が発達しておりその停留所にも同様に貼ってある。そのポスターの中にはポーランドデザイナーの作風が生きた個性的なポスターが一定の割合であり、それらを眺めるのが移動の楽しみの大きな部分を占めている。
ポスターの具体的な特徴としては、メインのビジュアルから文字まで手描きの筆致を生かしたものが多い。人の温もりを感じさせるが、それを生かす絶妙なレイアウトにより不思議な存在感を放つ。ワルシャワ美術アカデミーの歴代の教員たち、学生たちが街の風景を作っているのだなと感動する。
★パリ東駅から電車で3時間のショーモン村では、毎年国際ポスター&グラフィックデザインフェスティバルが行われる。村の中のあちこちに展示会場があり、主要部分は歩いて回れる範囲にある。オープニングに参加できたことはないが、展示を見て回ると、洗練された作品や受付をする学生のボランティアの様子に活気を感じる。フェスティバルのマークはレイモン・サヴィニャックによるものでほのぼのしているが、選ばれて展示されているのはデジタル世代の激しいコラージュやコントラストの強いタイポグラフィが多い。フランスという国を一括りにはできないが、当館と関わりのある各地のデザイナーに見られるような、色彩の鮮やかさと社会へのメッセージ性、アーティストであるという誇りは繋がっているように感じる。パリの広告塔のポスターは、ほとんどが個人の作風を排除したものであるので、地方都市の方が活躍できる場があるのかもしれない。
★ラハティポスタートリエンナーレは最近まで“ビエンナーレ”で、ワルシャワの開催されていない年に行われていた。ワルシャワが巨大すぎてそれと比較するものではないが、毎回各国から何人ものデザイナーが集まる。規模はこぢんまりしていて、自然とデザイナー同士の付き合いが親密な雰囲気になる。集まったデザイナーでアアルト大学元教授のマリヤッタ・イトコネンさんにキャンパスを案内してもらったり、ペッカ・ロイリさんのお宅に呼ばれて夕飯をごちそうになったりした。そういった気取らないふるまいや、性別や年齢に関係なくフラットな人間関係が、森と湖に囲まれて暮らし、自然と共に暮らすフィンランド人の気質で、それは彼らの静かだが強くシンプルを極めるようなデザインと繋がっているように思われ、日本のデザインにも似ている部分があるように感じる。
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